この作品におけるAIの関与
使用AI: 未指定
AI使用率は投稿者が自己申告した値です。
深夜の喫茶店。四番テーブルの客は、毎晩同じ時間に来て、同じものを頼み、同じページの本を読んでいる。
四番テーブルの客
深夜一時。
喫茶「月灯」のマスター、飯田は四番テーブルを見た。今夜も来ている。
四十代半ばの男。グレーのコート。黒縁の眼鏡。注文はいつもホットコーヒーのブラック。文庫本を一冊持っている。
毎晩、午前一時ちょうどに来る。一時四十五分に出ていく。四十五分間、コーヒーを飲みながら本を読む。
三週間、一日も欠かさず。
飯田は気づいていた。男が読んでいる本のページが、毎晩同じであることに。
文庫本の背表紙は見えない。だが、開いているページの位置が変わらない。全体の四分の三あたり。毎晩、同じページを開いている。読み進んでいない。
気味が悪いとは思わなかった。深夜の喫茶店には変わった客が来る。それが当たり前だ。
だが、四週目の月曜日。
男がいつもと違うことをした。
一時十分。男がカウンターに近づいてきた。初めてのことだった。
「マスター、一つ聞いてもいいですか」
落ち着いた声だった。
「どうぞ」
「この店に、以前、赤いマフラーの女性が来ていませんでしたか。三十代くらいの」
飯田は考えた。赤いマフラー。常連にはいない。
「いつ頃の話ですか」
「二年…
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