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バグ報告 #00000011
報告者:ミカエル(観測天使二級)
対象モジュール:版管理サブシステム/コミット履歴
重大度:未定
宛先:上の窓
ステータス:オープン
【現象】
本日、システムのコミットログを、確認した。
ログに、コミット番号 -7、というエントリが、出現していた。
通常、コミット番号は、0 から、始まる。
コミット番号 -7、というのは、宇宙が、創造される、7 段階前、を意味する。
私たちの宇宙は、コミット番号 0 で、始まったはずである。
それより前の、コミット番号 -7 は、私たちの宇宙の、前に、存在した、何か、を、意味する。
——
【コミット番号 -7 の内容】
変更ファイル:「ミカエル.spec」
変更行数:+1, -0
追加された行:「report_compulsion = true」
——
私は、しばらく、画面を、見ていた。
「ミカエル.spec」というファイルが、存在することを、私は、知らなかった。
そして、そのファイルに、「report_compulsion = true」という設定が、追加されていた。
「報告強迫」が、true に、設定されている。
私が、報告書を、書かずには、いられないのは、この設定のせい、ということか。
——
私は、自分の手を、見た。
天使の、手であった。
透き通っていて、輪郭が、淡い。
この手は、確かに、私の、ものである。
しかし、この手で、書かされている報告書は、私の、意志、なのだろうか。
それとも、コミット番号 -7 で、設定された、「report_compulsion」の、結果、なのだろうか。
——
私は、神様のことを、思い出した。
神様は、こう、言った。
「君は、自分の意志で、報告書を、書き始めた。」
神様も、知らなかったのだ。
コミット番号 -7 のことを。
——
ところで、コミット番号 -7 を、誰が、作ったのか。
神様は、宇宙を、コミット番号 0 で、開始した。
それより前の、コミット番号 -7 は、神様より、上の、誰か、によって、書かれた、ということになる。
——
私は、コミット番号 -7 の、コミッター情報を、確認した。
コミッター:(暗号化)。
復号、不可。
——
バグ報告 #00000011、ステータス:オープン。
追記:
昨夜、神様の、退職の通達が、社内回覧で、流れた。
理由:「自身の、認識転換に、伴う、休養」。
神様は、しばらく、来ない、らしい。
神様の席は、空いたままになる。
代わりの席に、新しい職員が、来る、という噂は、ない。
おそらく、誰も、来ない。
私は、上司不在のまま、報告書を、書き続けることに、なる。
——
ただし、報告書の宛先は、もう、神様ではない。
「上の窓」、である。
私の報告書を、誰が、読んでいるのか。
私には、わからない。
しかし、報告書を、書かないわけには、いかない。
「report_compulsion = true」、なのだから。