用水路
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日常 / 短編

用水路

著・はしも

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2026年4月28日 投稿 · 2026年4月29日 更新
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あらすじ

用水路。

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CHAPTER 1
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シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)。
 この四つのインクの網点が重なり合って、世界はできているらしい。少なくとも、姫路から大阪に出てきて三ヶ月、新卒でこの中堅印刷会社に入社した橋本にとってはそうだった。
 そして今の橋本の世界は、ひどく淀んだ濁色をしている。
「だから! この赤、もっと『情熱的だけど涼しげな赤』にしてって言ったよね? なんでただの金赤になってんの?」
 梅田のオフィスビル群の一角。冷房が暴力的に効いた会議室で、クライアントの若手担当者が苛立たしげに吐き捨てた言葉が、橋本の鼓膜を不快に揺らした。
 情熱的だけど涼しげな赤。
 (だぼが。そんな色、カラーコードのどこ探してもあるわけないやろがい)
 橋本の脳内で、姫路で育った生々しい播州弁が毒づく。だが、現実に橋本の口から出るのは、綺麗に漂白された、魂の籠もっていない標準語の羅列だ。
「申し訳ありません。こちらの認識不足でした。すぐにデザイナーに調整させます」
 隣に座る営業部長がヘラヘラと笑いながら頭を下げ、その直後、机の下で橋本の脇腹を革靴の先端で思い切り蹴り上げた。痛みに息を呑むが、表情は変え…

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目次

全 1 話
    01

    用水路

    5 min

作者について

はしも

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