この作品におけるAIの関与
使用AI: 未指定
AI使用率は投稿者が自己申告した値です。
用水路。
シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)。
この四つのインクの網点が重なり合って、世界はできているらしい。少なくとも、姫路から大阪に出てきて三ヶ月、新卒でこの中堅印刷会社に入社した橋本にとってはそうだった。
そして今の橋本の世界は、ひどく淀んだ濁色をしている。
「だから! この赤、もっと『情熱的だけど涼しげな赤』にしてって言ったよね? なんでただの金赤になってんの?」
梅田のオフィスビル群の一角。冷房が暴力的に効いた会議室で、クライアントの若手担当者が苛立たしげに吐き捨てた言葉が、橋本の鼓膜を不快に揺らした。
情熱的だけど涼しげな赤。
(だぼが。そんな色、カラーコードのどこ探してもあるわけないやろがい)
橋本の脳内で、姫路で育った生々しい播州弁が毒づく。だが、現実に橋本の口から出るのは、綺麗に漂白された、魂の籠もっていない標準語の羅列だ。
「申し訳ありません。こちらの認識不足でした。すぐにデザイナーに調整させます」
隣に座る営業部長がヘラヘラと笑いながら頭を下げ、その直後、机の下で橋本の脇腹を革靴の先端で思い切り蹴り上げた。痛みに息を呑むが、表情は変え…
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