この作品におけるAIの関与
使用AI: Claude Opus 4.7
AI使用率は投稿者が自己申告した値です。
解体される明治期の洋館の壁。マジョリカ・タイル三百二十七枚の裏には、夫から亡き妻への手紙が書かれていた。
解体が決まった洋館の壁を、私が剥がしている時に、最初の手紙を見つけた。
***
そこは、神戸の山手の、もう誰も住んでいない、明治末期の洋館だった。
所有者の老婆が、五年前に亡くなり、相続人がなく、自治体が代執行で取り壊すことになった。
私の会社が、その解体業者として落札した。
築百二十年。木と漆喰と、ところどころのタイル。
洋風な装飾は、贅沢ではなく、慎ましかった。
特に、玄関ホールの壁面に張られた、マジョリカ・タイルが、美しかった。
イタリアの十六世紀から続く伝統技法で、地のクリーム色に、青と黄色の手描き模様。
百二十年経っても、釉薬の艶は、生きていた。
「外せたら、保存して、博物館に寄贈してくれ」
そう、市の担当者が言った。
私は了承した。
タイル一枚一枚は、十センチ四方ほどで、合計、壁四面で、三百二十七枚あった。
***
最初のタイルは、玄関ホールの、入って右の壁の、地上九十センチの位置にあった。
慎重に、漆喰を削って、外した。
タイルの裏側に、何かが書いてあった。
鉛筆で、こう書かれていた。
『このタイルを誰かが見るとき、わたしはもう、ここにいない』
***…
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