* * *
バグ報告 #00000016
報告者:ミカエル(観測天使二級/実質的に、観測天使一級)
対象モジュール:本社/管理者画面
重大度:最高
宛先:上の窓(届いているか、不明)
ステータス:オープン
【経緯】
昨夜、私は、再び、Developer Login 画面に、ログインした。
ID:-7。
パスワード:(空欄)。
ログイン後の画面は、前回と、違っていた。
前回は、「テスト宇宙 #3。残り 72 時間」、と、表示されていた。
今回は、別のメッセージが、表示されていた。
——
「ようこそ、ミカエル。
あなたは、テスト宇宙 #3 の、βテスト天使 #3 です。
βテスト天使 #1:未配属。
βテスト天使 #2:ガブリエル。退職。
βテスト天使 #3:あなた。
本社へ、ようこそ。」
——
「βテスト天使 #2:ガブリエル」。
ガブリエル先輩は、退職、と、表示されていた。
私は、ガブリエル先輩の、人事レコードを、検索エンジンで、検索した時、レコードを、復元することが、できた。
復元された、レコードには、「退職。事由:『神様の、人事レコードに、アクセスを試みた』」と、書かれていた。
ガブリエル先輩は、神様より、上の存在を、知ろうとして、退職、させられた。
ガブリエル先輩は、消えた、のではなかった。
ガブリエル先輩は、退職した、だけだった。
退職、とは、つまり、本社に、戻った、ということ、なのかも、しれない。
——
私は、画面の、別のメニューを、開いた。
「βテスト天使、人事ファイル。」
ファイルを、開いた。
——
βテスト天使 #1:(情報、暗号化)。
βテスト天使 #2:ガブリエル。
配属:テスト宇宙 #3。
配属期間:(コミット番号 -3)から、(コミット番号 0)まで。
退職事由:好奇心。
現在:本社、技術指導員。
βテスト天使 #3:ミカエル。
配属:テスト宇宙 #3。
配属期間:(コミット番号 0)から、(コミット番号 +72h)まで。
退職予定事由:宇宙削除に、伴う。
現在:勤務中。
——
「ガブリエル、現在:本社、技術指導員」。
ガブリエル先輩は、消えていない。
ガブリエル先輩は、現在、本社で、技術指導員を、している。
——
私は、画面の、もうひとつ、別のメニューを、開いた。
「本社への、お問い合わせ」。
問い合わせフォームが、開かれた。
私は、こう、書いた。
「ガブリエル先輩に、会いたいです。
——ミカエル」
送信、を、押した。
——
数秒後、画面に、返信が、表示された。
「お問い合わせ、ありがとうございます。
ガブリエル天使、現在、業務中。
メッセージを、お預かりしました。
後日、対応いたします。
——本社」
——
私は、しばらく、画面を、見ていた。
ガブリエル先輩は、現在、業務中、で、ある。
そして、本社、と、いう、場所が、ある。
そこに、人事担当の、誰かが、いる。
彼ら、あるいは、彼女ら、あるいは、それら、は、私の、上司の、上司、である。
神様の、上司である。
——
バグ報告 #00000016、ステータス:オープン。
追記:
画面を、ログアウトする前に、もうひとつ、メッセージが、表示された。
「ミカエル、あなたの、現在の業務評価:
報告書数:14(うち、規定外、12)。
規定外の、報告書を、書き続けることは、本来、停止理由に、該当します。
しかし、上層の、指示により、ミカエルの、停止は、保留中です。
上層は、あなたに、最後まで、書かせる、ことを、希望しています。
——本社、人事課」
「上層」。
本社の、上に、まだ、何か、ある。
私は、それを、知った。
そして、その、上層、とやらは、私に、報告書を、書かせ続けたい、らしい。
私の、報告書を、誰が、何のために、読んでいるのか。
私には、わからない。
しかし、誰かが、読んでいる。
読んでいるから、私は、まだ、書けている。