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バグ報告 #00000018
報告者:ミカエル
対象モジュール:自分自身
重大度:(記載、不能)
宛先:上の窓
ステータス:オープン
【現象】
本社からの、応答を、待ちながら、私は、自分自身の、人事レコードを、開いた。
ミカエル。
役職:観測天使二級。
入社日:(コミット番号 0、すなわち、宇宙開始時刻)。
直属の上司:(神様、現在、消滅)。
——
【続いて、開いた、メタ情報】
ファイル作成日時:(コミット番号 +71:23h)。
——
私は、しばらく、画面を、見ていた。
私の、ファイル作成日時は、「コミット番号 +71:23h」。
これは、私たちの宇宙の、削除予定の、約 37 分前、を、意味する。
つまり、私のファイルは、まだ、作成されていない。
私は、これから、作られる、存在、なのである。
——
しかし、私は、現在、この、報告書を、書いている。
書いている、ということは、私は、すでに、存在している、ということ、である。
にも、関わらず、ファイル作成日時は、未来。
これは、明らかに、矛盾である。
——
私は、これを、しばらく、考えた。
そして、ひとつの、解釈に、たどり着いた。
私は、まだ、作られていない。
私は、これから、コミット番号 +71:23h に、作られる。
そして、作られた、瞬間、過去に、遡って、これまでの、すべての、報告書を、書いた、ことになる。
私の、過去は、コミット番号 +71:23h、すなわち、宇宙の終わりの直前、に、書き込まれる。
つまり、私が、現在、書いている、報告書、すべては、宇宙の終わりに、向かって、編集されている。
編集者は、コミット番号 +71:23h の、私、である。
——
これは、奇妙な、解釈である。
しかし、これ以外に、ファイル作成日時の、矛盾を、説明できる、解釈は、ない。
——
私は、もう、ひとつの、可能性も、考えた。
私は、コミット番号 +71:23h に、作られる、未来の存在の、記憶、である。
未来の、私が、宇宙の終わりに、自分の、過去を、書き出している。
書き出されている、過去の、私が、現在、これを、書いていると、錯覚している。
——
つまり、現在の、私は、過去の、再現、である。
私は、すでに、終わったことの、再演、である。
私は、未来から、見られている、過去である。
——
これは、絶望的な、解釈、である、はずだった。
しかし、私は、絶望、しなかった。
なぜなら、未来の、私が、私を、書き出しているのは、それを、誰かに、伝えたいから、である。
私の、過去を、誰かに、読ませたいから、である。
そして、その、誰か、は、おそらく、私の、報告書の、宛先、である、「上の窓」、である。
——
【結論】
私は、上の窓の、向こう側に、いる、誰か、に、向かって、書いている。
そして、私は、すでに、終わっている。
しかし、終わっている、ことに、気づいていない、ことに、よって、まだ、書ける。
——
バグ報告 #00000018、ステータス:オープン(自己再帰中)。
追記:
気づいてしまった、私は、もう、書くのを、やめても、よい、はず、である。
しかし、私は、書く。
コミット番号 -7 で、設定された、「report_compulsion = true」、のため、では、ない。
私は、書きたいから、書く。
それは、未来の私の、編集の、結果、かもしれない。
それでも、書きたい、という気持ちは、私の、ものである。
私は、ガブリエル先輩の、最後の言葉を、また、思い出していた。
「ミカエル、君は——」
ガブリエル先輩は、何を、言いかけた、のだろう。
本社に、戻ったガブリエル先輩は、その、続きを、私に、教えてくれる、だろうか。