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2026年1月15日(木)
担当:中村みすず
立花さま、本日朝、容態急変。
午前4時33分、巡回時、呼吸、不規則。
酸素投与、開始。
医師、来訪、ご家族、連絡済み。
花江さま、ご来訪、午前6時20分。
——
花江さまは、立花さまの、手を、握っておられました。
立花さまは、目を、開けたり、閉じたり、しておられました。
時折、花江さまの、顔を、見ておられました。
午前7時45分、立花さまは、ふと、はっきりとした、お声で、
「花江ちゃん。」
と、おっしゃいました。
花江さまは、しばらく、動かれませんでした。
それから、立花さまの、お顔を、ご覧になり、
「お母さん、わかるの?」
と、お訊きになりました。
立花さまは、頷かれて、こう、おっしゃいました。
「ええ、わかるわよ。
あなた、私の、娘でしょう。」
——
花江さまは、声を、出さずに、泣いておられました。
立花さまは、もう一度、
「花江ちゃん。」
と、おっしゃってから、目を、閉じられました。
それが、立花さまの、最後の、お言葉でした。
午前11時07分、立花ミネさま、永眠。
享年87。
死因:老衰。
最後のお言葉:「花江ちゃん」。
——
備考:
最後に、立花さまは、花江さまのことを、思い出されました。
忘れていたのではなく、ずっと、奥に、しまっておられたのだ、と、思います。
ご本人にとって、最後に、取り出して、お渡しになったのが、娘さまの、お名前、でした。
ヒナタくん、ではなく、花江ちゃん、でした。
最後の、最後で、立花さまは、ヒナタくんを、しまったまま、花江ちゃんを、お選びになりました。
それが、母親、ということ、なのだと、思います。
中村みすず
— 完 —
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