忘れ物
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純文学 / 短編

忘れ物

著・藤村 美咲

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2026年5月3日 投稿
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あらすじ

ひだまり苑、203号室。立花ミネさん87歳。昨日のことを、毎日、忘れる。しかし、ある名前だけは、忘れない——看護師の業務日報として記録された、四ヶ月の、静かな看取り。

試し読み

CHAPTER 1
試し読み

2025年9月2日(火)
担当:中村みすず(看護師)
利用者:立花ミネさま(87歳、女性、要介護4)
部屋:203号室

申し送り:
本日より、立花ミネ様、入所。
家族構成:娘・立花花江様(57歳)、孫一名。
配偶者は20年前に他界、長男も2010年に他界。
診断名:アルツハイマー型認知症(中等度)。
短期記憶、おおむね保持できず。
昨日の出来事は、本人、ほぼ覚えていない。
ただし、長期記憶は、断片的に保持。
特に、若い頃の記憶は、鮮明とのこと。

——

入所時、ご本人、お元気そうな様子。
ご家族(娘さま)、ご挨拶後、しばらく窓辺で、立花さまと、お話しされていた。
お別れの際、立花さま、娘さまのことを、忘れている様子。
娘さまは、笑顔で「また来るね、お母さん」と、お伝えになった。
立花さま、笑顔で頷くも、娘さまが帰られた後、私に「あの方は、どなた?」とご質問。

私:「お嬢さまですよ、立花さま。」
立花さま:「あら、そう。それは、ご丁寧に。」

夕食、完食。
入眠時、特に問題なし。

——

備考:
立花さまは、ベッドの脇に、写真立てを、置いておられました。
写真には、若い男性が、写…

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目次

全 8 話
    01

    初日

    1 min
    02

    ヒナタくん

    1 min
    03

    花江さんの来訪

    2 min
    04

    忘れ物

    1 min
    05

    1 min
    06

    十二月の、桜

    1 min
    07

    最後の朝

    1 min
    08

    申し送り

    2 min

作者について

藤村 美咲

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